第188回 株式会社 旭技研

 第188回は、「切削・溶接・組立」までを一貫して手がけられている『株式会社旭技研』さんです。1975年、京都市上京区で当時36歳だった松山隆司氏が、勤務先であった旭金属株式会社から独立し、株式会社旭技研を創業しました。社名には、かつて在籍した旭金属への敬意を込め、その「旭」の一字を受け継いでいます。1986年には事業拡大に伴い京都市南区の現在地へ移転。さらに3年前には、増加する加工機械の導入に対応するため、より広い作業空間を備えた新社屋を建設しました。半世紀にわたり、設備投資を重ねながら着実に成長を遂げてきた企業です。
 同社の事業の柱は、ステンレスを中心とした「切削・溶接・組立」の3つのプロセスをトータルに手がけられる点にあります。大手分析機器メーカーや精密機器メーカーに各種パーツをパッケージ製品として提供しており、なかでもステンレスの切削加工は最も得意とする分野です。さらに、他社が敬遠するような手間のかかる仕事でも常にお客様のオーダーにフレキシブルに対応し、引き受ける姿勢を貫き、多品種少量の注文にも柔軟に対応。品質の高さに加え、短納期での納品を実現している点も大きな強みです。また、同業他社との横のつながりも大切にし、得意分野の仕事を互いに融通し合うことで、顧客の多様なニーズにお応えしています。取引先企業との信頼関係を強固なものにしてきました。
 現社長の松山氏が代表に就任したのは、平成20年、41歳のときでした。20歳で入社して以来、現場の金属加工からあらゆる業務を経験してきた同氏にとって、社長就任は自然な流れであったといいます。現場で培った技術力と経営感覚の双方を備えていることが、同社の安定経営を支えています。
 今後について松山社長は、外部環境が目まぐるしく変化する時代において会社を持続的に発展させるには組織力の強化が不可欠だと語ります。業務の棚卸しや分担の見直し、組織体制の再構築、新たな評価制度の導入に取り組む予定です。目指すのは、社員一人ひとりがアイデアを出し合い自走できる組織。その象徴が、入社3年目の美大出身の女性社員が考案したキャラクターマスコットの誕生です。新入社員でも自由に声を上げられる風土が、同社には根づいています。「仕事はたくさんある。だからこそ、それを受けられる体制づくりが大事だ」。松山社長の言葉には、次の時代を見据えた確かな覚悟がにじんでいます。