第181回 生田産機工業株式会社

 第181回は、今年で創業106年を迎えられる非鉄金属加工の総合素材設備メーカーの「生田産機工業株式会社」さんです。
 同社は、1919年に初代・生田捨吉氏が京都・伏見の地に「生田鉄工所」を創業したことに始まります。
 当初は伏見の土地柄より酒造設備機械を主力に化学機械を製造していましたが、1950年代初めより伸銅設備機械の製造を開始し、1953年に生田産機工業(株)の設立を経て以来、銅系素材をはじめとした金属素材の面削装置を中心に、お客様の要求仕様に応えるフルオーダーメイドの金属生産設備の製造・開発を担い、伸銅用面削装置においては国内NO.1のシェアとなりました。
 現社長の生田泰宏氏は三代目であり、父親である前社長の死去に伴い、社長に就任したのは1999年、わずか38歳の時でした。
1990年代より二代目社長と共に中国蘇州を視察し、京都に似た古都の雰囲気に親近感を抱いたことや、1997年に初めて中国人社員を採用した経験から海外展開の可能性を強く意識するようになり、2000年には現地で自社の技術が中国市場で十分通用するとの確信を得ていました。
 さらに、同時期に大手取引先が近隣に工場を移転する好機と重なり「今しかない」と中国進出を決断しました。しかし当時は年上社員も多く、若い社長の決断に反対する声も少なくありませんでした。それでも今がビジネスチャンスと決断された社長の意志は固く、周りの反発を押し切り自らの判断を貫きました。結果として納品からメンテナンスまでの現地対応力の強みを生かし、当初中国進出を反対していた社員も進出後には積極的に中国に出向き生田のモノづくり人づくりイズムが浸透し受注は拡大し中国市場で見事成功を収めました。この大きな決断が同社の海外展開の礎となり、2015年には、トルコ・イスタンブールと海外に現地法人を開設し、お客様と共に世界に誇れるIKUTAブランドのモノづくりを行うべく進めてこられました。
 2020年の創業101周年には、コロナ禍のなか京都本社、中国、トルコ拠点を結びオンラインで盛大に式典を開催しました。こうした活動が評価され、京都市から「地域企業輝き賞」に選ばれるなど、地域経済への貢献としても高く評価されています。
 同社は昨年創業105年を迎えられ、1997年に中国人留学生を初採用して以来、ドイツ・タイ・トルコ・インドネシア・ブラジル・インド・ミャンマーから外国籍のエンジニア社員を継続採用されています。「モノづくりは人づくり」という文化を大切にされている生田泰宏社長のもと、社員が安心して働ける職場づくりに日々取り組んでおられます。
 生田産機工業さんは、「MADE WITH IKUTA」のより良い未来を見据え、今後も更にその歩みを進めていかれることでしょう。