第151回 株式会社 草川精機

 第151回は金属・非金属精密機械部品の製造及び組立をされている「(株)草川精機」さんです。
 昭和62年、代表取締役 草川博史社長のお父様が機械一台を譲り受け独立し、切削のお仕事を梅小路にて開始。その当時小学生だった草川社長もお手伝いをされながら、家族一丸となってお仕事に取り組まれました。平成11年には現在の地にて新社屋が完成。当時、草川社長は「これからは高速のマシニングの時代だ」という考えで設備を揃え、作業時間が4.5時間から1時間に短縮。大幅な作業効率UPにつながり、これが転機となり液晶製造装置の部品などに携る会社へと成長しました。
 しかし当時は、大きな課題がありました。金属の切削作業は個人に依存する作業であり、職人さんが休めば生産が止まり、退職したら終わる。また引継ぎもうまくできず、若い世代に受け継がれない状況でした。そこで2005年「ファクトリーマネージャー※」制度を導入。これにより職人さんの作業を一元化することに成功しました。導入当時は職人さんの道具1千個全てに番号をうったり、2万本の刃物を共有工具にしたり、大変な苦労があったそうです。その後工具にはICチップを組み込み、今どこにあるかをパソコン上で管理できるように。また加工ノウハウの蓄積、技術の伝承が可能となり、現在は外国人や未経験者でも積極的に採用し、生産率の向上にもつながっています。この体制は社外からも反響が大きく、大手メーカーの方が見学に来られるなど大変注目を浴びました。現在は、鉄道のパーツ、スマートフォンの顔認証デバイス製造装置や医薬品などの幅広い分野に携わり、それが経営の安定にもつながっています。
 人材教育については、「リーダー研修」や「財務会計」「生産効率向上」などの勉強会や面談を実施し、社員一人一人の自立を目指して、風土の改革を行っています。
 もの心ついた時から昆虫がお好きだった草川社長は、京都府が管理する絶滅危惧種の昆虫などを後世に残せるよう、標本づくりや研究にボランティアで協力。それは企業として環境問題を考えるきっかけにもなっています。草川社長は「これからの時代に乗り遅れないよう、新しい分野の仕事に一歩早く足を踏み入れたい」とお話くださいました。お忙しい中大変丁寧にご説明いただきありがとうございました。