第153回 (株)有喜屋

 第153回は手打そばで有名な有喜屋さんへお邪魔しました。現在の代表者三嶋 吉晴さんは三代目店主となります。初代三嶋 尚太郎さんが、昭和4年先斗町の歌舞練場北隣りで創業されました。うどんやどんぶりがメインで三代目も小学校高学年ごろから出前の注文で先斗町を走り回っていたそうです。20歳の時、将来のことを考えたときに『京都には手打そば屋がない。これをやろう!』と一念発起。東京に約2000件あるそば屋の先頭を走る東京上野「藪そば」の手打そば名人三代目店主鵜飼良平氏の直弟子となり丸3年修業し、1980年に帰京、有喜屋の三代目店主となられました。
 しかしそこから三嶋さんの苦労は始まります。京都にはそもそも、そばを食べる文化がなかったので手打そばの提供を始めたものの、京都で認知されるには時間と努力が必要だったそうです。取材や組合イベント、新聞などの宣伝活動に力を入れ、とにかく「そば」という文字を世間に広げる努力をされ、その一環として【そば道場】有喜蕎心流そば打ち塾を始められました。以降「そば道場」は現在まで25年以上続いています。
 そして、そば文化の普及のためにあらゆることに尽力した結果、2013年黄綬褒章そして2019年藍綬褒章を受章されました。
 「京都のそば文化を日本一にしたい」と、手打そばにこだわり続けてこられました。『京都のそばは江戸前のそばに決して負けない。京都の“だし文化”と手打そばの技を合わせれば日本一だと思っています』。三代目のこれからの活動目標としては地元で「そばの実」から育てることだそうです。「京都そばを日本一のブランドにしたい」この思いを胸にこれからも『「京都そば」を全国へ、そして世界へ発信して参ります』とおっしゃられていました。
 そばを広めるためにそんなご苦労があったとは知りませんでした。すでに何度もお世話になっておりますが、そば好きな方はぜひKPC会員証をもって店舗へ足をお運びください。(大盛りにしていただけます)