第158回 宮崎木材工業株式会社

 第158回は1856年(安政3年)創業今年で167年目を迎えられる宮崎木材工業㈱さんです。代々受け継がれた伝統的な指物技術を守りながら、建物の内装や家具の製造をされている会社さんです。
 幕末に初代宮﨑安兵衛さんが京都御所南の夷川通で京指物師として創業したのが始まりです。指物(さしもの)とは、金物や金釘を一切使わずに、『ほぞ』や『組み手』といった伝統技術により手作業で木と木を組み合わせて作る技術のことで、多数の技法を駆使することにより500種類以上の製品を作ることができると言われています。平安期が起源とされる京指物は、桐製品を代表とする様々な調度指物や、茶道指物、挽物(ひきもの)などがあります。その技術をふんだんに使った家具を皇居に納められたこともあるそうです。現在、宮崎木材工業さんには【伝統工芸士】の資格を保有する従業員が2名おり、彼らを中心に若手社員に技術を伝え、受け継いでおられます。
 また良いものを長く使えるように家具の修理や補修などもされており、取材に伺った時の応接室に置かれていた応接セットも約50年も前に作られた家具をリメイクされたもので、聞かなければ全く気付かないほど新品同様の綺麗な仕上がりでした。使い捨てではなく、良いものを直しながら長く使うことで、地球にも優しくSDGsを実現されていると感じました。
 もうひとつ大きな部門として、戦前から建物の内装などもされております。こちらの会社は木と木、もしくは木と他素材を張り合わせる技術に優れており、その技術を生かして、木を使った燃えにくい内装材を製作し、ミヤライトをはじめとする様々な独自の内装材を開発・製造されております。京都迎賓館や新宮殿豊明殿、京都コンサートホールなど、京都内外の名だたる建物の内装に携わっておられます。
 内装は京都工場で木材を加工し、内装材を製作して全国各地の現場に行き、取り付けるところまでを一貫して自社で行われているため、安心と信頼でリピートして仕事の依頼を受けることも多いそうです。
 現社長の7代目宮﨑真里子さんは木材利用促進のため、組合の役員をいくつも兼任されて、女性社長として多方面で活躍されております。皆さんも指物の技術を使った美しい商品を見に、夷川通りのお店に足を運んでみてはいかがでしょうか。