第177回 株式会社 プロト
第177回は、京都に本社がある鋳物の試作~少量量産メーカー「株式会社プロト」をご紹介します。砂型鋳物をメインとして、「京都本社」ではアルミ、「富山工場」では鉄、ステンレスの鋳物素材を製作されている企業です。
2005年、現在の社長が36歳の時に淀の貸工場で従業員5人からスタートしました。創業当初、資金集めに大変苦労しながらも5年ほどで会社が軌道に乗り、久御山にあった大型倉庫を購入し、移転しました。創業以来、各種工業用試作品の一括受託と、その量産化に向けた様々なサポートを事業の柱として展開しています。「現状に満足せず、より優れたものを作る」というチャレンジ精神を企業理念とし、他社が困難と判断する手間のかかる試作品製造をも積極的に受け入れる姿勢が、同社の競争力の源泉となっています。
同社の技術力の核心は砂型鋳造にあります。創業当初から、砂型用の3Dプリンタを採用し、複雑な形状の部品製造にも対応しています。富山工場において2024年1月より木型の社内製作を開始し、これまで外注していた工程を内製化することで、コストダウン提案を大幅に強化し、顧客へのメリットを拡大しています。
同社の特徴として、アルミ、鋳鉄での単品から少量量産まで幅広く対応し、最高水準の測定器による検査を経て、最高品質の製品を最速で1つから提供することです。この柔軟性が、試作段階から量産移行まで一貫したサポートを可能にしています。技術の追求と顧客の信頼、満足度の向上に努めることを経営の根幹とし、対外的にも積極的な活動を展開されています。2024年のJIMTOF(日本国際工作機械見本市)においては、「砂型3DプリンタSCM-800Ⅱの活用事例」をテーマとした基調講演に登壇されました。
今後の展望として国際展開を積極的に進めており、2019年から中国に進出し、現地に合弁会社を設立しています。2025年4月には上海国際自動車ショーにおいて、同社が製造したV8シリンダーヘッドを搭載したエンジンを展示、中国のみならず海外市場への本格的な進出を図っています。
創業から20年という節目を迎える中で、日本のものづくりを高度な技術力とチャレンジ精神で支える企業として、社会課題解決や国際展開にも視野を広げています。「諦めずに続けること」「新しいことにチャレンジすること」の大切さを教えてくれる、素敵な会社だと感じました。