第176回 株式会社日本サルベージサービス

 第176回は、京都と滋賀を拠点に建設現場向けのクレーンリース事業や、各種商品の輸出入通関などを手がける「株式会社日本サルベージサービス」をご紹介します。車両・陸運・船舶・海運といった幅広い輸送業務を展開している企業です。
 同社は1958年、現社長の父によって創業されました。朝鮮戦争の終結後、進駐軍の撤退により多くの離職者が発生したことを背景に、進駐軍の保有機材を活用する企業が誕生しました。大﨑氏は戦前より貿易商を営んでおり、外務省に親戚がいた縁もあって、同社はその一社として誕生しました。進駐軍から譲り受けた大型クレーン車やトレーラーを活用し、創業当初は事故車の救援を主な業務としていました。
 高度経済成長期には、名神高速道路や新幹線の整備が進み、建設現場でのクレーン需要が急増。同社も事業を拡大し、戦後復興を支える重要な役割を果たしてきました。1963年には京都消防団と提携し、人命救助の要請に対応する体制を整備。東日本大震災の際には、取引先工場の被災を受け、社員が協力して救援物資を集め、京都府から通行許可を取得し、10トントラック数台で東北に物資を届ける支援活動も行いました。
 また、大型機械を扱う企業として安全管理にも注力し、年間を通じて毎月事故防止講習を実施し、社員の安全意識を高める取り組みを継続されています。
 国際物流の分野では、電気バスの輸入、風力発電設備の組立・設置、ソーラーパネルの輸入など、環境に配慮した事業にも積極的に取り組んでいます。再生可能エネルギー関連の事業拡大にも力を入れており、持続可能な社会の実現を目指しています。
 さらに、新建材であるCLT(直交集成板)を活用した木造大型建築にも取り組んでおり、大阪万博の日本政府館建設にも採用されました。CLTは環境負荷が低く、施工期間の短縮や軽量で運搬が容易といった特長から、住宅や商業施設、学校、オフィスビルなどでの活用が広がっています。
 今後も株式会社日本サルベージサービスは、建設業界の発展に貢献しながら、社会貢献活動にも力を注ぎ、さらなる成長を遂げていかれることでしょう。