第189回 京華産業 株式会社

 第189回は「京華産業株式会社」をご紹介します。
 創業は1947年(昭和22年)旧三井物産京都支店の有志が集い、戦後復興の只中に産声を上げました。以来、京都を拠点に「モノづくりのパイプ役」として、製造現場と市場をつなぐ商社の役割を一貫して担ってきました。2002年には三井物産から独立し、自主独立の経営体制を確立。来年2027年には創立80周年の節目を迎えます。
 同社が扱うのは、金属、機械、産業設備など多岐にわたる産業資材です。単に商品を右から左へ流すのではなく、取引先の課題を「自分ごと」として捉え、現場に寄り添った最適な製品やサービスを提案する姿勢が信条です。2000年には中国・大連に事務所を開設し、鋳物をはじめとする輸入商材の拠点を築きました。以来26年にわたり現地との信頼関係を積み重ねた結果、2015年に天津新港で大規模な爆発事故が発生した際にも、現地パートナーが別の港からの輸送に切り替えて物流を止めることはありませんでした。さらにコロナ禍においても現地工場の稼働が途絶えず、日本への供給を維持し続けました。これらの実績は、同社の海外ネットワークの底力を物語っています。
 現社長の西田武史氏は7代目にあたります。家業は京都の呉服商でしたが、大学卒業後に同社へ入社し、機械部の営業からキャリアをスタートさせました。その後、産業設備部、彦根支店、金属部と、営業の最前線で経験を重ね、2019年に取締役に就任。昨年6月、代表取締役社長に就任されました。現場を知り尽くした社長の誕生です。
 西田社長が今後の経営で大切にしたいと語るのは、MBO独立時の川勝社長が掲げた「小粒でピリッとした会社」という言葉、そして以来受け継がれてきた「3つの貢献」です。取引先に対しては信頼と満足を、社会に対しては環境保全と納税による責任を、社員及び株主に対しては成果に基づく報酬と配当で応えています。この三本柱を経営の軸に据えます。公益社団法人中京納税協会からは継続的に、優良申告法人として表彰を受けており、社員にも企業業績等を開示する風通しの良い職場づくりを実践しています。さらに「当社で働くすべての社員が主役である会社」を経営方針に掲げ、社員持株制度を通じた経営参画の仕組みを整えています。
 創立80年の節目を前に、西田社長が見据えるのは会社を大きくすることではなく、誠実に、着実に、次の世代へバトンを渡すこと。「小粒でピリッと」―その言葉どおりの存在感で、京都のモノづくりを支え続けていきます。