第72回 株式会社 小堀

 第72回は仏壇・仏具の老舗『株式会社 小堀』さんです。安永4年(1775年)今から約240年前、現在の滋賀県彦根市において創業されました。小堀岩吉商店として京都で独立開業されたのは明治27年(1894年)。現在の場所に移転されたのは昭和9年(1934年)のことであり、近代化の波やまた大きな戦争に翻弄されながらも、シベリア抑留から帰還された先々代が伝統産業を担う「小堀」としての礎を築かれました。その後十代目社長となられた小堀進さんも生活様式の変化にも対応できるよう研究開発と販路拡張に精進され、『会社の立場はあとにして、まずお客様の立場にたっての発想と行動』という先々代の言葉をよりどころに、仏壇をお買い求められたお客様の言葉を「お仏壇ものがたり」としてまとめられています。
 現在は、仏壇仏具の製作工程や修理を見学できる工房や資料館を運営されているとともに、灯りのない発展途上国の子供たちのために寺院様の使用済ろうそくを寄進する活動をされています。その数は現在まで12年間に88,917本。その活動がメディアでも注目され、先日はNHKお昼のニュースでも取り上げられました。
 社長は『お客様は仏壇が欲しいわけではないんです。安らぎや生きる力を求めたい…私たちが作るお仏具に手を合わせ、涙をながして喜んでくれる人がいる。心を込めてつくるとは、そんなシーンを思い浮かべることができるかどうかです。このことを多くのお客様に気づかせてもらったんです。』とおっしゃっていました。
 従業員の方々の想い、そして社長の想いを知り、そういった想いをもって仕事をされていることに感動しました。皆さんもぜひ一度、工房見学へ行ってみてください。