第95回 株式会社 千總

 創業460余年の「株式会社千總」さんです。1555年に京都室町三条で法衣装束商として創業。今日まで暖簾を守り続けられています。
 友禅染を商いの主軸としたのは明治時代。友禅染の下絵を日本画家に依頼するという当時としては異例の試みで従来のデザインを一新させ、友禅染の新時代を構築しました。また、美術染織品のパイオニアとして技術開発にも取り組みます。友禅染や刺繍の技術を駆使して制作した絵画と見紛うような作品を国内外の博覧会に出品し、数々の賞を受賞しました。大正時代は美術品の貿易拡大に力を入れられ、中国・朝鮮・タイ・シンガポールなど海外にまで出張所を設立。ヨーロッパ、東南アジア、中近東まで広げていかれたそうです。戦後は伝統の技を受け継ぎ、着物づくりに注力され現在に至ります。
 長い歴史の中で蒐集・製作された資料は、現在重要文化財を含め染織品、書籍、絵画など約2万点に及びます。それらの保全に務める一方、研究機関や教育機関などとも連携して調査・研究を進めています。また社内のギャラリーではこれらのコレクションを一般の方でも無料で見ることができ、展覧会の開催を通じた作品の公開、伝統文化の発信などで社会貢献に努めています。
 現在は伝統の技と歴史の中で培った美意識を活かしてフォーマル着物を製作し、全国の百貨店や専門店へ卸販売しています。その技術やデザインを活かして“きもの”という概念にとらわれることなく、和のデザインにおける唯一無二のプロフェッショナルチームとして、業種や国境をも超えた様々なプロジェクトやアーティストとのコラボレーションなどに取り組まれています。
 今後は、よい“きもの”をつくり続けることだけではなく、“きもの”や友禅のデザインをより身近に楽しんでいただく提案、“きもの”の枠をも超えて友禅の可能性を追求していかれます。代表取締役社長の仲田さんは、「伝統技術を商品にする仕事」だとお話し下さり、職人さん一人一人を大切に伝統継承されています。SOHYA TASで販売されているストールや和雑貨は、“きもの”にはもちろん、普段着にも合う繊細な柄で仕上げられています。ご自身にはもちろん、プレゼントにもお勧めです。