第54回 株式会社 村田染工

 第54回は、無地染めにおいて60年以上の歴史があり、近年は伝統の草木染に力を入れている『村田染工』さんです。
 もともとは着物の染色を中心とされていましたが、業界をめぐる環境が厳しさを増し、何か新たな事業を考えている時に奈良の正倉院の展示品の中で、1200年前の朱の色がまだ保たれている靴下を見て感動し、草木染の工業化に取り組むきっかけとなったそうです。
 そして’03年に京都市や、加工剤などを扱う洛東化成工業(大津市)とプロジェクトチームを結成し、2社による共同研究の末、ついに草木染の量産化の技術を確立しました。近年では、全国でもほとんどないという草木染による糸染の量産化にも成功し、淡色だけでなく、原料の組み合わせで中間色や濃色も出す事が出来るそうです。 自然素材を求める消費者が増え、草木染に対する関心も高まりつつあります。特に糸染の製品は優しい色合いや柔らかい立体感が特徴で注目されているようです。
 村田染工では、現在はまだ委託加工が中心とのことですが、将来は草木染の製品のブランド化や、草木染の糸の販売等、自社展開も視野に入れているそうです。
 さらに、草木染等染めの伝統を守りながらも技術のシステム化も進められています。職人の勘に頼っていた作業をすべてデータ化する事により、次の代への伝承に向けたステップになると考えています。
 歴史に学び、伝統を守り、時代にあった改新を進める『村田染工』の今後の活躍が期待されます。